2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

太陽族映画(その1)〜プロデューサー水の江滝子

太陽族映画(当時は太陽映画といった)の全体像を見やすくするためにチャートを作成したのでご覧になって頂くとお分かりになると思うが、太陽族映画というのは歴史的事実を踏まえて厳密に云うと、昭和31年(1956)の5月から10月の僅か半年の間に公開された6本…

丸山明宏、にっぽん製シャンソンという魔界

丸山明宏(美輪明宏)が初めてマスコミに登場するのは昭和32年(1957)春のこと。同年には時の人といった勢いで新聞雑誌に取り上げられるが、翌年になると五所平之助の映画「蟻の街のマリア」で、化粧もせずに男役で出演したことが話題になったぐらいでマスコ…

石井輝男とモード〜ラインシリーズをめぐって

新東宝末期に製作されたラインシリーズという映画がある。昭和33年(1958)の「白線秘密地帯」から始まり「黒線地帯」「黄線地帯」「セクシー地帯」と続き、昭和36年(1961)の「火線地帯」までの五本の映画の総称である。監督は石井輝男(「火線地帯」の武部弘…

働く女性〜モダンガールからOLまで

働く女性いわゆる職業婦人のことが最初に雑誌記事になったのは、大正12年(1923)に雑誌「婦人画報」に掲載された記事である。大正12年に完成したばかりの丸ビル(建て替えられる前の旧丸ビル、場所は同じ東京駅の丸の内口)のオフィスで働く新しい女性たちを…

アヤコという名のシェパード、飼主は吉田茂

シェパードは西洋犬の中でも昭和初期からよく知られた存在だった。それは飼い犬としてではなくもっぱら軍用犬としての軍功を通してである。昭和9年(1934)発行の中央公論誌に掲載された「シェパード明暗色」と題するエッセイでは、二年前に起きた五・一五事件…